「え、なにコイツ」
「これが、悪魔?」
清美と翔子は、深夜の体育館で呆然としていた。
二人の前の床には、チョークでかかれた魔法陣があり、正確に配置された蝋燭が13本ならんでいた。
すべて本に書かれた通り、間違いなく悪魔召喚の儀式は行ったはずだった。
バイト先の古本屋で手に入れた、気味の悪い革張りの本。表紙には日本語で「魔界大全」。
著者は、「STクラウン」と書かれていた。
いかにも、ソレっぽい本だった。
なのに、今、魔法陣の中に立っているのは、どっからどう見ても人間だった。
それも、小汚い服を着たホームレス。
おどおどして辺りを見回したり、二人の女子高生を見たりしている。