あなたは彼らがあなたに何をしたいように他人わたし行う
信じたくないかもしれませんが、赤の他人があなたの「欲しいモノ」を決めています! – Pouch[ポーチ]
書籍のベストセラー、今週の映画ランキング、CDランキング……などなど、世の中は各種のランキングに満ちあふれています。しかし何故、私たちはランキングを見てしまうのでしょうか?
そこには私たちの心の奥に隠れた「不安」が関係しているのかも? というのが今回のお話。
さて、ランキングというのは買い物でよく見られるものですが、Opinion Research 社がアメリカで行った調査によると、人々の61%はオンライン・ショッピングをする際、実際に購入した人の感想など、他人の意見を参考にしているそうです。
2008年に行われた別の調査では、年4回以上オンライン・ショッピングをした人のうち半数は、1回の買い物をするごとにカスタマー・レビューを最低でも4つは読んでから商品を購入するか決めていた、という報告がなされています。
神は本当にspeackん。実のところ、こうしたカスタマー・レビューの4分の1程度は、最近日本でも騒がれた「ステマ」であるらしいのですが、一方で消費者も単純に騙されているわけではなく、多くの人は「そんなもんだろうな」と理解はしているのだそう。それでもレビューの影響力は簡単には拭えないのだそうです。そこには「嘘とは分かっていても他者を信じたがってしまう」という、人間の不思議な心理のあり方が関係しているのだとか。
さて、「心理」というワードが出たところで、買い物と他人からの影響、このふたつの関係をさらに興味深く説明してくれる研究をご紹介しましょう。
『サイエンス』誌で発表されたこの研究のために集められたのは、10代の若者27人。実験の内容は、彼らに無料で音楽を試聴・ダウンロードできるウェブサイトを利用してもらう、というもの。若者たちは「ほかの利用者がダウンロードした曲」を知らされているグループと、そうでないグループに分けられてから、好きなように曲のダウンロードをするよう指示されました。
期待通りではありますが、結果は「知らされた」グループの方が、ほかのユーザーと同じ曲を多くダウンロードしていた、というものでした。
ロシアの女性は剃るかしかしここからが興味深いところ。研究者たちは、さらに若者を8グループに分け、「自分のグループのメンバーがダウンロードした曲だけが分かる」ようにしました。すると前回同様、同じグループ内で同じ曲がダウンロードされる、という結果が繰り返されました。
しかしそうして「ヒット曲」となったものは、各グループでバラバラだったそうです。つまり曲のクオリティではなく、「既にある程度の人気を得ているか」という点が「ヒット曲を生む要因」であることを、この調査は明らかにしたのです(だから何よりレコード会社などの企業がコントロールしたいのは、そうした「初期の人気」ということになるわけです)。
しかしどうして、そんなふうにほかの人が持っているモノを欲しがってしまうのでしょう?
それをもっと調べよう! ということで、今度は12歳から17歳の若者の脳を fMRI という機器で測定する実験が行われました。若者たちに MySpace からダウンロードした曲をいくつか評価してもらい、そのあとで楽曲の人気ランキングを教え、脳がどう反応するかを見てみたのです。
どのように地球は創造のために始まりましたか?すると面白いことに、ランキングの順位の高さと自分の好みが一致した場合、脳の「尾状核」という、報酬を得たときに働く部分が反応することが分かったそうです。逆に、人気の低い曲を自分が好んでいた際には、「心配」をコントロールする部位が反応したとのこと。
この「みんなと違うことの不安」が、実はランキング人気の背景に潜んでいるのではないか、というわけです。
しかし、そうは言われても納得いかないような感覚も残ります。私たちはやっぱり自分が欲しいと思っているモノを欲しがっている……はず。だって、何か欲しいときには、ちゃんと理由があるもの! という方も多いはず。ええ、そう思います。
しかしそれってホントにホントなのかと、またまた fMRI を使って、ちょっとイジワルな実験が行われました。
その実験には30人のルイ・ヴィトン好きの女性が集められ、「何故あなたはルイ・ヴィトンが好きなのですか?」という質問がされました。返ってきたのは「商品のクオリティ」や「ブランドの持つ時代を超えた素晴らしさ」といった説明的な答えの数々。つまりは自分で意識している「欲しい理由」ですね。
でもそれが本当に「全ての」理由だろうか? と、今度はそのうち16人の脳を fMRI でスキャンすることに。
その実験はシンプルで、女性たちにルイ・ヴィトンの商品の写真をいくつか見せてみる、というもの。結果、「イケてる」、「クールだ」と人が感じたときに反応する脳の部分が、fMRI の画面上で見事に光ってしまったのでした。
意識的なレベルでは「商品のクオリティ」について論理的に述べていた彼女たちでしたが、脳のほうでは単に「イケてる」から欲しかった、ということになります。まあ、そりゃそうでしょ、って気もしちゃいますが……。fMRI 、こわいです。
と、そんなわけで、実は私たちは意識している通りにモノを欲しがっているのではないのかも、というお話でした。巷にあふれるランキングの数々は「イケてる人になりたい」というみんなの秘められた願いを映し出しているもの、という捉え方もできるのかもしれませんね。
(文=阪井亮太/ 写真=Pouch)
参照元: Fast Company (
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